今回は、新人看護助手の皆さんがきっと一度は悩んだことがあるであろう「質問」について、お話ししたいと思います。特に、初めての職場で「質問してもいいのかな」「迷惑にならないかな」と不安に感じる気持ち、わたしも痛いほどよく分かります。新人だった頃のわたしも、質問したいことが山ほどあるのに、なかなか声を上げられずに困った経験がたくさんありました。
「質問するのが怖い」「どう聞いたらいいか分からない」と感じているあなたは、決して一人ではありません。そして、それはあなたが真面目で、責任感があるからこその悩みだと、わたしは思います。
この記事を読んで、少しでもあなたの心が軽くなり、明日からの仕事で自信を持って質問できるようになるヒントを見つけていただけたら嬉しいです。
まず、質問をためらってしまうあなたの気持ちに寄り添わせてください。「こんなこと聞いても大丈夫かな?」「前に聞いたことだったかな?」「忙しそうだから後回しにしよう」——そんな風に思うのは、決して悪いことではありません。むしろ、周囲への配慮ができる、とても素敵な心を持っている証拠です。
わたしも新人だった頃、先輩看護師さんやベテランの看護助手さんが忙しそうにしているのを見ると、「これ以上負担をかけたくない」という気持ちが強くて、聞きたいことを飲み込んでしまうことがよくありました。しかし、結果として患者さんを待たせてしまったり、結局後からもっと大きな問題になってしまったりすることも…。その経験から学んだのは、「適切なタイミングでの質問は、むしろ信頼につながる」ということです。
医療現場では、小さな見落としや確認不足が、患者さんの安全に直結することもあります。だからこそ、「わからないことをそのままにしない」という姿勢は、看護助手として非常に大切なプロ意識だと、わたしは感じています。質問をすることは、決して恥ずかしいことではなく、むしろ「責任を持って仕事に取り組む」というあなたの真剣さの表れなんです。
だから、どうか自分を責めないでくださいね。質問にためらいを感じるのは、あなたが患者さんや職場のことを真剣に考えている証拠なのですから。
では、具体的にどうすれば「質問上手」になれるのでしょうか?新人さんが実践しやすい、効果的な質問術を「いつ」「何を」「誰に」の3つのポイントに分けてお伝えします。
「忙しそう」というのは、質問をためらう一番の理由かもしれませんね。しかし、忙しい中でも「この時なら大丈夫」というタイミングはできるだけあります。
指示を受けた直後:指示内容が不明瞭な場合は、その場で確認するのが一番効率的です。時間が経つと、相手も指示の内容を忘れやすくなりますし、あなたも「何を質問したかったんだっけ?」となる可能性があります。
業務の合間:患者さんのケアが一段落ついたときや、休憩室で少しリラックスしている瞬間など、相手の手が空いているタイミングを見計らいましょう。
緊急性の有無で判断:患者さんの安全に関わることや、すぐに手を打つ必要があることは、迷わずすぐに質問してください。それ以外の、少し猶予があることなら、上記のようなタイミングを待ちましょう。
どうしてもタイミングが掴めない時は、「今、少しお時間よろしいでしょうか?」と一言添えるだけでも、相手に配慮していることが伝わりますよ。
漠然とした質問は、相手も答えに困ってしまいます。ポイントは、「具体的に」「簡潔に」、そして「自分の考え」を添えることです。
具体的に:例えば、「Aさんの〇〇について、〜の点で分からないのですが」というように、何を、誰について、どの部分が不明なのかを明確に伝えます。
簡潔に:長い説明は、相手の時間を奪ってしまいます。ポイントを絞って、要点を短くまとめる練習をしてみてください。
自分の考えを添える:これが一番重要です。「〜かと思ったのですが、合っていますか?」「〜と理解したのですが、この認識で問題ないでしょうか?」のように、一度自分で考えた上での質問は、相手に「この人は自分で考えているな」という好印象を与え、より丁寧な回答を引き出すことにもつながります。もし間違っていても、「なるほど、そう考えることもできるね。でも正解はこうだよ」と教えてもらいやすくなりますよ。
誰に質問するか、というのも大切です。基本的には、指示を出した看護師さんや、業務の責任者に確認するのが鉄則とされています。
指示を出した看護師:業務内容に関する質問は、まず指示を出した看護師に確認するのが一番です。最も正確な情報を得られます。
経験豊富な看護助手:日常業務の流れや、ちょっとしたコツなどは、ベテランの看護助手さんに聞くと、より実践的なアドバイスをもらえることが多いです。わたしも「〇〇さんはどうしていますか?」とよく質問していました。
チームリーダーや先輩:もし、特定の看護師さんに聞きづらいと感じる場合や、全体的な業務の流れについて知りたい場合は、チームリーダーや頼りになる先輩に相談してみるのも良いでしょう。
質問が終わったら、忘れずに「ありがとうございます」と感謝の気持ちを伝えましょう。感謝の言葉は、良好な人間関係を築く上でとても大切です。
「自分で考えた?」と聞かれるのが怖い、と感じる方もいるかもしれませんね。わたしもそうでした。だからこそ、質問する前に以下のことを確認する習慣をつけてみましょう。このひと手間が、あなたの自信につながります。
メモを見返す:指示をメモした内容をもう一度確認してみましょう。慌てていて見落としているだけ、ということもよくあります。
マニュアルを確認する:職場に業務マニュアルがあれば、まず自分で調べてみましょう。基本的な手順やルールは、そこに記載されていることが多いです。
過去の経験や先輩の動きを思い出す:同じような状況で、以前どう対処したか、先輩がどう動いていたかを思い出してみましょう。意外とヒントが見つかるものです。
状況を整理する(5W1H):誰が (Who)、何を (What)、いつ (When)、どこで (Where)、なぜ (Why)、どのように (How) を頭の中で整理してみてください。具体的な状況が整理できれば、質問の内容もより明確になります。
これらの確認をすることで、「自分で調べた上で聞いている」という姿勢が相手に伝わり、より丁寧な指導を受けやすくなります。そして何より、あなた自身の理解も深まります。一歩ずつ、自分で考える力を養っていきましょうね。
質問は、あなたの成長の糧です。一度聞いたことを忘れてしまっても大丈夫。大切なのは、次に同じ疑問に直面したときに、自分で解決できるようになることです。そのために、わたしがおすすめしたいのが「学びの記録」をつけることです。
自分だけの「質問ノート」を作る:手帳やメモ帳、スマホのメモアプリなど、何でも構いません。質問した内容と、それに対する答え、そして「なぜそうなのか」という理由を簡単にメモしておきましょう。後から見返すと、大きな学びになります。わたしも、小さな手のひらサイズのメモ帳を常に持ち歩いていました。
「解決済みリスト」を作る:質問が解決したら、その項目をチェックしたり、別のリストに移動させたりするのも良い方法です。「こんなにたくさんの疑問を解決できたんだ!」と、自分の成長を視覚的に実感できますよ。
この記録が、あなたの「自分だけのマニュアル」になります。そして、次に同じ質問が出たときに、自信を持って「〇〇ですね」と答えられるようになるはずです。同じ質問を繰り返さない工夫は、周りの信頼にもつながるとわたしは感じています。
日々の小さな疑問を解決していくことが、看護助手としての大きな成長へとつながっていきます。焦らず、一歩ずつ、着実に知識を増やしていきましょう。
詳しくは「看護助手の持ち物チェックリスト|初出勤・日勤・夜勤で必要な道具」でも現場のポイントを詳しく解説しています。
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あわてず一歩ずつ、チームと情報を共有しながら進めれば大丈夫です。今日の学びを小さく実践し、次の勤務につなげていきましょう。
免責事項: この記事は、看護助手としての現場経験に基づく一般的な情報提供を目的としています。職場や地域、個人の状況によって異なる場合がありますので、詳細は勤務先や専門家にご確認ください。