患者移送は、看護助手の業務について詳しくはこちらの中でも特に身体的な負担が大きく、一瞬の気の緩みが患者さんと自身の両方の事故に繋がる可能性があります。安全な移送を実現するためには、技術だけでなく、しっかりとした心構えが不可欠です。ここでは、すべての移送介助の基本となる3つの原則を紹介します。
移送を始める前に、周囲の環境と患者さんの状態を確認することが最も重要です。
ボディメカニクスとは、骨格や筋肉の働きを力学的に活用し、最小限の力で最大限の効果を発揮するための技術です。これを意識することで、腰痛などの職業病を防ぎ、患者さんにも安心感を与えることができます。
患者さんは、移乗の際に転倒や痛みの不安を感じています。丁寧な声かけは、その不安を和らげ、協力を得るために不可欠です。
💼 看護助手の仕事内容について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください: AI技術導入が看護助手業務に与える変化|最新医療技術トレンド
ストレッチャーは、主に自力で動くことが困難な患者さんや、手術後・処置後の患者さんを安全に搬送するために使用します。
1. 準備: ベッドの高さをストレッチャーと同じか、少し高く調整します。ストレッチャーをベッドの横に隙間なくつけ、両方のブレーキを確実にかけます。
2. 患者さんの準備: 患者さんに移乗することを説明し、同意を得ます。腕を胸の上で組んでもらい、体を小さくまとめてもらいます。
3. 移乗: 複数人(2〜3人)で協力します。患者さんの頭側、腰、足側に分かれ、体の下にスライディングシートなどを敷き込みます。リーダーの掛け声に合わせて、一斉に患者さんを水平にスライドさせて移乗させます。
4. 移乗後の確認: 患者さんがストレッチャーの中央に安全な姿勢でいることを確認し、サイドレールを必ず上げます。
車椅子は、歩行が不安定な患者さんや、長距離の移動が困難な患者さんのために使用します。ストレッチャーよりも利用頻度が高いため、正しい使い方をマスターすることが重要です。
1. 準備: 車椅子をベッド(または椅子)に対して30〜45度の角度で、患者さんの麻痺がない「健側」に設置します。ブレーキをかけ、フットレストを上げておきます。
2. 患者さんの準備: 患者さんに移乗を説明し、ベッドの端に深く腰掛けてもらいます。足が床にしっかりとつくように高さを調整します。
3. 移乗: 患者さんの前に立ち、膝を曲げて重心を落とします。患者さんに前かがみになってもらい、介助者は患者さんの腰と膝を支えます。掛け声とともに立ち上がり、ゆっくりと方向転換し、深く車椅子に座ってもらいます。
4. 移乗後の確認: フットレストを下ろし、足を乗せてもらいます。ブレーキを解除する前に、姿勢が安定しているかを確認します。
患者移送の技術は、一度覚えれば終わりではありません。常に「安全」を最優先し、ボディメカニクスを意識することで、患者さんに安心感を与え、自分自身の身体を守ることができます。
今回紹介した基本原則と手順を日々の業務で繰り返し実践し、自信を持って安全なケアを提供できる看護助手を目指しましょう。