
わたしは20歳で、総合病院の外科病棟で看護助手として働いています。毎日、患者さんの身の回りのお世話や、看護師さんのサポートをする中で、多くのことを学ばせていただいています。体力的に大変な日もありますが、患者さんの「ありがとう」という言葉や、元気になっていく姿を見ると、この仕事を選んで本当に良かったなと心から思います。
わたしが看護助手として働き始めてから強く感じていることの一つに、「独学の大切さ」があります。現場で経験を積むことはもちろん重要ですが、それだけでは追いつかない知識や、より深く理解したいことがたくさん出てくるんです。特に医療現場は日進月歩で、新しい情報が常に更新されていますから、自分から学び続ける姿勢がとても大切だと感じています。
「でも、仕事が忙しくて勉強する時間がない」「何から手をつけて良いか分からない」と感じている方もいらっしゃるかもしれませんね。わたしも最初はそうでした。今回は、そんな方のために、看護助手として働きながら独学で知識を深めるための具体的な方法や、わたしが実践しているコツについてお話ししたいと思います。少しでも皆さんの参考になれば嬉しいです。
なぜ、看護助手にとって独学がそんなに重要なのでしょうか?いくつか理由があるとわたしは感じています。
例えば、体位変換や移乗介助一つをとっても、ただ体を動かすだけでなく、患者さんの疾患や身体の状態を理解しているかどうかで、介助の方法や声かけ、観察のポイントが大きく変わってきます。わたしも独学で解剖生理や主要な疾患について学ぶようになってから、「この患者さんは、なぜこの動きが苦手なのか」「このケアをすることで、どのような効果が期待できるのか」といった視点を持つことができるようになりました。その結果、患者さんの負担を減らし、より安全で丁寧なケアができるようになったと感じています。
現場では、看護師さんから指示を受けたり、患者さんの情報を報告したりすることが頻繁にあります。ある程度の医療知識があることで、看護師さんの意図をより正確に理解できるようになりますし、適切なタイミングで的確な情報を提供できるようになります。わたしも最初は専門用語が分からず、何度も聞き直していましたが、独学で学ぶうちに「〇〇の患者さんだから、今この情報が必要なんだな」と予測して動けるようになり、円滑なチーム医療に貢献できていると実感しています。
将来的に看護師を目指したい、医療事務の勉強をしたいなど、様々な目標を持つ方もいらっしゃると思います。独学で培った知識やスキルは、そうした次のステップへ進むための大きな土台となります。実際に、わたしの病棟の先輩の中にも、看護助手の経験と独学で得た知識を活かして看護学校に進学された方が何人もいらっしゃいます。独学は、自分自身の可能性を広げるための投資とも言えるかもしれませんね。
「自身のキャリアパスを広げるため」で感じた課題を整理するときはヒューマンライフケアに相談して条件やサポート体制を具体化してみてください。
「独学が大切と言われても、毎日仕事で疲れて、なかなか時間が取れない…」そう感じるのは、わたしも同じです。でも、工夫次第で効率的に学ぶことはできますよ。わたしが実践しているコツをいくつかご紹介します。
まとまった時間を取るのは難しいかもしれませんが、通勤電車の中や休憩時間、寝る前の数十分など、一日のうちに意外と小さなスキマ時間がありますよね。わたしは、この時間を有効活用しています。例えば、スマホにダウンロードした医療系のEラーニングアプリを使ったり、文庫サイズの参考書を読んで気になった部分にマーカーを引いたり。夜勤の仮眠時間後に少しだけ、なんてこともあります。最初は「たった数分」と思うかもしれませんが、毎日続けることでかなりの学習量になりますよ。
インターネットにはたくさんの情報があふれていますが、医療に関する情報は特に、信頼できるものを選ぶことが重要です。わたしは、専門書や医学雑誌、厚生労働省などの公的機関のサイト、あとは病院の研修資料などを参考にしています。また、現場で働く看護師さんや先輩看護助手に質問することも、とても貴重な学びの機会です。皆さん、忙しい中でも丁寧に教えてくださるので、分からないことは遠慮せずに聞くようにしています。ただし、相手の状況を見て、質問するタイミングには気を付けています。
ただインプットするだけでなく、学んだことをノートにまとめたり、自分なりの言葉で説明する練習をしたりすることで、知識が定着しやすくなります。わたしは、特に覚えたいことや苦手なテーマについては、簡単な図を描いたり、単語カードを作ったりして、視覚的にも覚える工夫をしています。職場の同期と「この前学んだこと、ちょっと話してみない?」と情報交換することもあります。人に説明しようとすると、「あれ、ここってどうだっけ?」と自分の理解不足に気づくこともあって、良い刺激になりますよ。
では、具体的にどのような知識やスキルを独学で身につけると良いのでしょうか。わたしの経験から、特に役立つと感じているものをいくつかご紹介します。
(解剖生理学、主な疾患の概要)
体の仕組みや、よくある病気がどのような状態なのかを知ることで、患者さんの状態変化に気づきやすくなったり、なぜこのケアが必要なのか、という根拠を理解できるようになります。例えば、心不全の患者さんの援助をする際、心臓の働きを理解していると、息苦しさの訴えがあった時にどのような体位が良いか、なぜむくみやすいのかといったことが結びつきやすくなります。わたしも、最初は全く分からなかったのですが、簡単な入門書から少しずつ学び始めました。患者さんのお食事の介助一つにしても、嚥下障害のある方への注意点などが理解できるようになって、日々のケアに自信が持てるようになりました。
(清潔ケア、体位変換、移乗介助などの理論)
わたしたち看護助手は、直接医療行為は行いませんが、基本的なケアは日常的に行います。これらのケアを安全かつ効果的に行うためには、ただ手順を覚えるだけでなく、その「なぜ」を知ることが大切です。例えば、体位変換の際、なぜ関節を保護するのか、なぜ摩擦を避けるのか。独学でその理論を学ぶことで、患者さんの身体への負担を最小限に抑え、安楽に過ごしていただくための工夫ができるようになります。わたしも、教科書で学んだ理論と、先輩から教わった実践を合わせて考えることで、より深い理解に繋がりました。
看護助手は注射や点滴などの医療行為を担当できません。必要な処置がある場合は、看護師に共有して指示を仰ぎましょう。
医療現場では、常に安全への意識が求められます。転倒・転落の予防、誤嚥の防止、感染症の予防など、看護助手として知っておくべきことはたくさんあります。これらの知識は、患者さんだけでなく、自分自身や同僚を守るためにも非常に重要です。手指消毒のタイミングや正しい方法、個人防護具(PPE)の着脱など、基本的なことを独学で再確認することは、日々の業務の質を高めることに直結すると言えるでしょう。
患者さんやご家族、多職種のスタッフとの円滑なコミュニケーションは、医療現場では欠かせません。相手の気持ちに寄り添う傾聴の姿勢、分かりやすく伝えるための工夫、非言語的なコミュニケーションの重要性など、独学で学ぶことで、より良い人間関係を築き、チームの一員として貢献できるようになります。わたしは、患者さんとお話しする際、相手の表情や声のトーンにも気を配るように意識しています。言葉だけでなく、そういった部分からも多くの情報を受け取れることがあるからです。
独学は、一人でコツコツと続けるものなので、時には「もう嫌だな…」と感じてしまうこともあるかもしれません。そんな時でも、モチベーションを保ちながら学習を継続するためのコツを、わたしなりにお伝えします。
「一週間でこの章を読み切る」「一日一つ新しい医療用語を覚える」など、手の届く範囲の目標を立ててみてください。目標を達成するたびに、自分を褒めてあげましょう。わたしも、少し難しい内容の参考書を読み終えた時は、自分にご褒美として好きなスイーツを買ったりします。この小さな成功体験の積み重ねが、次へのモチベーションに繋がります。
わたしの場合は、「患者さんにもっと安心して過ごしてもらいたい」「看護師さんの力になりたい」という思いが、学び続ける原動力になっています。仕事で患者さんの状態が理解できた時や、看護師さんから「ありがとう、助かったよ」と言われた時に、「学んでいてよかった!」と心から感じます。この実感が、次の学習への意欲を掻き立ててくれるんです。皆さんも、ご自身の目標や夢を思い出してみてくださいね。
独学は marathonのようなものです。毎日十分にこなそうとすると、かえって疲れてしまい、挫折の原因になることもあります。調子が悪い日や、どうしても気が乗らない日は、思い切って休んでしまうことも大切です。好きな音楽を聴いたり、美味しいものを食べたり、リフレッシュする時間も確保してくださいね。わたしの場合は、お休みの日に友達とカフェに行っておしゃべりしたり、好きなドラマを観たりして気分転換しています。心と体の健康が、継続的な学習には不可欠ですから。
最後に、「仲間と情報を共有する」ことも有効です。同じ職場の同期や、SNSなどで知り合った看護助手さんと、学んだことや疑問を共有してみるのも良いでしょう。一人で抱え込まず、時には助け合うことで、モチベーションを維持しやすくなりますよ。
詳しくは「看護助手から一般企業に転職できる?」でも現場のポイントを詳しく解説しています。
この記事を読んだ方には、以下の記事もおすすめです。
働きながら独学で医療知識を深める学習法とキャリアアップのヒントでお伝えした内容を振り返ると、日々の現場で大切にしたいポイントが幾つか見えてきます。
すぐに試しやすい行動のヒントは次の通りです。
看護助手にとって独学が大切な理由とは?の視点で業務の質を高め、患者さんにより良いケアを提供するために目を向ける
看護助手にとって独学が大切な理由とは?の視点で看護師さんとの連携をスムーズにするために目を向ける
看護助手にとって独学が大切な理由とは?の視点で自身のキャリアパスを広げるために目を向ける
あわてず一歩ずつ、チームと情報を共有しながら進めれば大丈夫です。今日の学びを小さく実践し、次の勤務につなげていきましょう。
看護助手の転職サービス3社比較で、強みとサポート内容を整理してから次の選択肢を決めましょう。詳しい比較記事を読む
免責事項: この記事は、看護助手としての現場経験に基づく一般的な情報提供を目的としています。職場や地域、個人の状況によって異なる場合がありますので、詳細は勤務先や専門家にご確認ください。